<申年は桃太郎戦略で>
  平成16年(申年)もあっという間に過ぎ去り、平成17年(戌年)を迎えることになりました。昨年も運送業界にとっては厳しい年でしたが皆様方の会社では如何でしたか?平成17年は干支でいえば戌年にあたりますが、過去3年間は申、酉、戌と続きました。申(猿)、酉(鳥=雉)、戌(犬)といえば、桃太郎神話が連想されます。
  桃太郎は、何故、鬼が島の鬼退治をするのに、猿、雉、犬を連れて行ったのでしょうか?諸説があるようですが、一番説得力があるのが「方向説」のようです。
  日本では、12支は干支として、昔から年回りや時刻、方向等、生活に密着して使われていましたが、方向の場合は次のようになっています。

12支による方位
 日本では、古来、北東(丑寅)の方角は鬼が住んでいるとされ、鬼門とされていました。この思いは現在でも地域によってはトイレの方向等で一部根強く残っているようです。

  桃太郎は、北東に住んでいる鬼を退治するためには、真正面である南西(羊申)の方向から攻め込んで行きます。また、家来としては自分の位置から後に続く申(猿)、酉(雉)、戌(犬)が選ばれたとのことです。主人公が桃太郎であるのは、昔の中国では、「桃」は邪気を払う果物として万病に効き目があるとされ、珍重されていたことによるものとされています。
  約30年程前に、朝日新聞の天声人語を担当しておられた扇谷正造氏は、その紙面において経営の3要素として桃太郎戦略をアピールしていました。
  即ち、企業経営のためには、猿の「企画力」、鳥の「情報力」、犬の「行動力」が不可欠であるということです。運送業でいいますと、次のようになります。
運送業における「桃太郎戦略」
企画力 @「運ぶ」だけから複合的、専門的な「運送サービス」の開発
Aデーターに基づく骨太の事業プランの作成
情報力 @荷主情報、営業情報、人事情報の収集と活用
A情報のフイードバックの推進
行動力 @全員一丸となった営業活動の実践
Aクイックレスボンス(迅速な顧客対応・事故対応)
  事業の発展は今後社内において申(猿)、酉(雉)、戌(犬)をどのように育てていくかが大きなポイントと言えます。
----------------------------------------------------------------------
残業手当の支払い方にもいろいろな方法があります!
 首都圏で運送業を経営しているA社は、トラック乗務員の残業手当に頭を悩ましていました。乗務員の殆どの人が月間100時間を超す時間外労働を行っており、労働基準法や「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」違反が常態となっていました。経営面からも、残業手当の額が大きな問題となっていましたので、同社では賃金総額に占める基本給の割合を40%程度に押さえ、他は手当として支給していました。それにより残業手当の基本となる残業時間単価を低く押さえていました。
 ところが、退職乗務員の所轄労働基準監督署への訴えにより、労働基準監督署の調査があり、同社の労働時間の計算方法及び残業手当の計算方法の違法性が指摘され、退職乗務員には過去2年間に遡り残業手当の未払いが確認され、新たに残業単価の計算方法について是正勧告を求められました。
 これを機に、A社では労働時間の計算方法及び賃金制度の抜本的改革を行いました。
                               <A社の改革>
(1)労働時間の計算方法
    @労働時間については、1ヶ月単位の変形労働時間制度を採用
    A労働時間の把握が難しい長距離運転者については、方面ごとに標
    準時間を算し、距離時間換算表を作成
    B長距離運転者の労働時間については、前記距離時間換算表に基
    づき計算
    C予め定められた労働時間を超える部分につき残業手当の対象とす
    る
 (2)賃金制度の改正
    @月例賃金を固定的賃金(基本給+諸手当)と変動的賃金(運行手当)
    に分ける
    A記比率は凡そ60:40とする
    B運行手当は時間外手当相当分とし、実際の残業時間基づいて計算
    した残業手当が運行手当を超えた場合はその差額を支給する
 一般的に運送業においては歩合給(出来高給)の割合が他業種に比べ高くなっていますが 労働基準法施行規則第19条及び21条において残業時間単価及び計算方法は次のように 定められています。
残業手当の計算方法

(1)残業手当を計算する際、除外可能な賃金
    家族手当・住宅手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・臨時の賃
    金
    1ヶ月を超えるごとに支払われる賃金
 (2)残業手当の計算方法
     @固定的賃金(除外賃金を除く)÷1ヶ月平均所定労働時間×1.25×
     残業時間
     A変動的賃金(歩合給)÷1ヶ月の総労働時間×0.25×残業時間
     ※休日労働は@の場合は1.35、Aの場合は0.35
     残業手当総額=@+A
  A社は、賃金制度の中に予め残業手当相当部分として運行手当を設け、割増賃金計算の便化を図っています。このことは、支給額が法定の割増賃金を下回らない限り、法的にも有効とされています。(昭和24.1.28基収第3947号)
  これにより、同社は少なくとも法対応とコスト削減の効果が検証されたそうです。
Copyright (C) sanmikeiei 2005 All Rights Reserved.